

ニュース配信サイトのコメント欄を観たことがありますか?
コメント欄にはニュースに対する国民の考え方が自由に記載されています。「こうするべきだ」「これは正しいと思う」というように建設的な意見が行われる場になるのが理想とされていますが、現実はそれ以上に「誹謗中傷」が行われる場所となっていました。
もっとも多く見受けられたのが「死ね」「気持ち悪い」「消えろ」といった直接的な誹謗中傷表現です。
多くは政治家や芸能人の不祥事が報道されたニュースのコメント欄に書き込まれており、感情的に強く人格を否定するようなニュアンスが多く見受けられました。
とあるニュースのコメント欄には「●●なんておかしい、アイツは☓☓しているんだ」のように、ニュースの内容とは関係ない他の行いについて言及している投稿者も見受けられました。
このように1つのニュースをきっかけに過去の行動が精査されるのはよくあることであり、その行為自体が間違っているわけではありません。しかし中には「そのような事実はないのにもかかわらず攻撃的な主張が行われている」というケースがあり、実際に裁判を起こされる事例があったのです。
該当する裁判は和解が成立したようですが、誹謗中傷を書き込んだ投稿者から相応の賠償金が支払われました。
最近では政治家や芸能人に匹敵する勢いで、アスリートに対する誹謗中傷が行われています。
特にオリンピック水泳日本代表の女子選手に対する誹謗中傷は注目を集めました。大会開催時には未曾有の感染症被害が広がっており、参加を辞退するように求める反対表明コメントが多く寄せられ、中には誹謗中傷のコメントも多く含まれていたのです。
この件に関しては参加すべきか、辞退すべきかという点に明確な正解はありません。しかし少なくとも本気で競技に取り組んできた選手を、誹謗中傷して良い理由にならないと言えるのではないでしょうか。
ニュースサイトで誹謗中傷が起こるのは、加害者に大きなデメリットがないから、です。
言って何かが変われば儲けものだし、変わらなくても特に損はありません。「とりあえず言ったもん勝ち」の構図が誹謗中傷に歯止めがきかない一因なのです。
警察も「通報があれば対応する」という姿勢に移行しているようですが、大量のアカウントから送られる誹謗中傷に1件1件対応するマンパワーがある芸能人やアスリートはおらず、結局無法地帯になってしまっています。
誰しも被害者に、もしくは加害者になる可能性がゼロではありません。
ふとしたことをきっかけに加害者になってしまわないよう、今回ご紹介した実例を頭の片隅に置いておき、正しい行動をとるように心がけることが大切なのではないでしょうか。